2020 年 7 月 6 日
スリランカ

食品の安全性とリサイクルを促進するスリランカの新しい学校給食牛乳プログラム

課題

国連の世界食糧計画によると、スリランカでは、調査を実施した地域間で差があるとは言え、14 〜 35% が深刻な栄養失調であると報告されています。 全国的な栄養調査では 19.6% が衰弱状態にあることが判明しています。現在の人口 2,100 万人からさらに増え続けると予想されるスリランカでは、栄養失調は社会・経済の発展を妨げると考えられています。

一方、農業省によると、牛乳の自給率は 40% 未満です。 牛 1 頭あたりの生産量は、未だに 1 日 2 リットル未満の低い水準です。 IFCN 酪農研究ネットワークの調査では、牛乳の生産は年間約 10% 増加し、業界の成長の可能性は高いとされています。 

スリランカのもう 1 つの課題は、地理的に気候変動による災害に見舞われやすいことです。 異常気象と度重なる自然災害を抱える島国として、スリランカはグローバル気候リスク指数で第 2 位にランクされています。  

イニシアチブ

スリランカ政府はこれらの課題に対応するため、2019 年に学校給食牛乳プログラムを立ち上げました。この新しいプログラムは、手始めに 950 校の児童 40 万人を対象に、100% 現地生産の UHT 牛乳を供給しました。 このプログラムは、政府が 100% 出資し、担当する管轄官庁は教育省です。 テトラパックのお客様である Cargills Ceylon は、全対象校のうち 400 校 185,000 人の児童に、テトラ・フィノ® アセプティック容器 150 ml 入り牛乳の供給を開始しました。

スリランカの女生徒たち

テトラパック南アジアとテトララバルの Food for Development のチームは、全世界の学校給食プログラムのベストプラクティスに基づいた技術サポートを提供して、Cargills と教育省を支援しました。 提供した支援として、お客様と教育省の実行チームに適切な食品の安全性に関するプロトコル、環境教育、リサイクルに関する基本トレーニングがあります。 さらにテトラパックは、使用済み紙容器を学校から回収してリサイクルできる現地のパートナーを特定し連携しています。

価値

プロジェクト対象の 400 校の児童が、使用済み紙容器を確実にリサイクルするワークショップに参加しており、さらに多くの学校で環境教育活動が展開されています。 

学校給食牛乳のプログラムは、牛乳の現地生産を促進し地産地消による栄養の改善を目的としています。 教育省は、身長や体重、出席数の増加と学習成果との関係などの指標で、子供の栄養状態を評価しています。

今後の展望

テトラパックは、食品の安全性のプロトコルに関する技術支援サポートとトレーニングを継続して提供し、パートナーと協力して回収およびリサイクルのインフラストラクチャを拡大しています。 長期的な目標として、テトラパックのデイリーハブモデル を通した農家への技術的支援とトレーニングの継続した提供により、牛乳の生産量が増加することを期待しています。