2020-07-20

テトラパックより新型コロナウイルス感染症と食品の安全性について

新型コロナウィルス感染症: 買ってきた食品の紙容器は洗った方が良いでしょうか?

Martin Lappann、テトラパック微生物学マネージャー

新型コロナウィルス感染症の流行は世界を一変させました。  ロックダウン、隔離、そして何よりも人々への感染や死亡数など、明らかな変化もあります。

一方で目に見えない部分やわずかな変化ですが、確実に私たちの生活を変容させました。 多くの国では感染防止の対策でレストランの休業要請が続いたため、食事の基本は外食から自宅での調理に切り替わりました。 買い物の頻度を減らす要請もあり、調理に使用する基本的な食材を切らさないように買いだめしてしまうのは誰しも共通の心理ですが、そのために家庭の冷蔵庫や食料貯蔵棚はいつもより窮屈な状態になっています。

今世界中で消費者の需要が急増しているのが、食品業界で「常温保存」と呼ばれる 冷蔵せずに長期間保存できる食品です。 テトラパックは、UHT(Ultra High Temperature:超高温殺菌)牛乳、ジュース、カットトマトからスープまで、そのような製品に使用する紙容器、食品を加工する装置や容器包装する装置を提供するグローバルリーダーです。

このパンデミックとともにインフォデミックも発生しています。自分たちが得た新型ウイルスの正しい知識を伝えようとする科学者たちを邪魔するかのようなフェイクニュースが拡散されていきます。

買い物中のウイルス感染を心配する人もいます。 テトラパックには、テトラパックの紙容器表面に付着、または内部に混入した SARS-CoV-2 ウイルスによる感染を心配する問い合わせが寄せられています。

テトラパックでは、 紙容器の表面または製品から SARS-CoV-2 に感染する可能性は極めて低いと結論付けています。 根拠は次のとおりです。

最初に、ウイルスの感染メカニズムを理解する必要があります。 ウイルスは感染した宿主の人(または動物)の体内でのみ複製されます。 一方細菌やカビの場合は、条件さえ適していればさまざまな場所で繁殖する可能性があります。

ウイルスは、咳、くしゃみ、または物への接触によって宿主を離れます。 ウイルスによる感染は、感染性ウイルス粒子(最小感染用量)が一定数なければ発症しません。したがって、汚染された表面のウイルス接触で感染症を発症することはほとんどありません。 SARS-CoV-2 ウイルスは宿主の体外ではすぐに不活性化するため、汚染された表面から感染の発症に必要な数のウイルス粒子が検出されることは難しいと考えられます。

買い物中のコロナウイルス感染には他にもごくわずかなリスクがありますが、各国および国際的な保健機関が推奨するように、こまめな手洗いや、口、鼻、目に触れないようにするなどの標準的な衛生習慣によって制御できます。

米国疾病対策センター(CDC) も世界保健機関も、食品、食品容器、または袋に起因するコロナウイルス感染の危険は非常に低いと述べています。 なお、食品、食品の紙容器、買い物袋などの接触が原因として疑われる新型コロナウィルス感染は現在まで確認されていません。

紙容器からの感染については、特にテトラパックの「アセプティック(無菌)」紙容器に入った食品ではほぼ皆無であると言えます。アセプティックの場合、容器包装は密閉された無菌環境で行われるからです。 工程で使用されるすべてが、次の 3 つのステップで滅菌されます。  製造前の装置の滅菌、次に液体食品自体、そして最後に包材の表面の滅菌。

このバクテリアでさえ生き残ることができない滅菌処理で、ウィルスが生き残る可能性はありません。 さらに滅菌されたテトラパックの紙容器内の食品は、微生物やウイルス、空気、光、漏れから保護されています。

ウイルスはどの表面でも長く生きることができないため、店頭に並んだ食品の安全性は維持されます。 食品容器の表面からコロナウイルスに感染したとされる事例は、科学文献でも報告されていません。

したがって、リスクの低減のために容器を洗う必要はありません。 むしろ洗った紙容器の密封部分に残った水分を養分にして、カビが発生して周囲の食品や物品で増殖する可能性があります。 カビはアレルギーの原因にもなります。また、食中毒のおそれがあるため、カビで汚染された食品を摂取してはいけません。 つまり、 リスクに過剰に反応して、結果としてカビという他の因子によるリスクを招くことになりかねません。  洗わなくても、テトラパックの容器は中の食品の記載消費期限まで安全です。

テトラパックは事業を展開するあらゆる地域で、EU および米国の食品医薬品局(FDA)の規制に準拠し、世界を代表する規制基準を順守しています。 これらの管轄区域以外での製造でも、現地の規制の準拠はもとより EU と米国の要件に準拠しています。

テトラパックは 60 年以上にわたり、安全な食品加工と容器包装に関する独自の知識と経験を積み重ねてきました。 この積み重ねが現在、テトラパックブランドの約束である 「Protect What's Good(大切なものを包んでいます)」の実現に大いに役立っています。

Martin Lappann