化学薬品の使用を抑えたスパイラル型メンブレンフィルトレーションシステムの洗浄

食品の安全を損ねることなく、CIP を効率化する新しい可能性

メンブレンフィルトレーションは、特に低乳糖の製品、高タンパク質製品、牛乳ベースの代替である植物由来の製品、およびベビーフードなどの製造における重要な技術の 1 つです。

最も安全に食品を製造するために重要なのは、膜処理システムを効果的に洗浄することです。 同時に、持続可能性も重要な課題です。

より短時間かつ最適化されたメンブレンフィルトレーションシステムの洗浄は、収益と環境の両面で重要な違いを生む可能性があります。 洗浄はメンブレンを摩耗させる最大の要因です。したがって、より短時間の洗浄は、製造時間を延長させるだけでなくメンブレンの耐用年数を伸ばします。

「新しい、さらに高度な酵素ベースの洗浄剤が市場に参入したこともあり、手順を減らすことで洗浄時間を短縮できるようになりました。 正確な手順は、メンブレンフィルトレーションシステムで使用する用途により異なります」とテトラパックのアプリケーション技術担当者、Jacob Jacobsen は説明します。

スパイラル型メンブレン

メンブレンを洗浄する場合、酵素のメリットの 1 つは、塩素などの化学物質と比較して、メンブレンの耐用年数を大幅に延長することです。

酵素か、化学物質か

一部の国や乳製品メーカーでは、主にこれまでの習慣とコストの面から、メンブレンフィルトレーションシステムの洗浄に依然として塩素などの化学物質を使用しています。

塩素や過酸化水素などの化学物質は、タンパク質を分解し、同時に殺菌効果もあります。 一方、酵素は、タンパク質をより小さな断片に細断して汚れを取り除きますが、消毒の効果はありません。 しかしながら、問題が発生するいくつかの場合を除き、メンブレンの消毒は一般的に必要ありません。

塩素は安価であるうえに、タンパク質の分解やバクテリアを除去するうえで非常に効果があるため、長年、メンブレンの洗浄に広く使用されてきました。

「テトラパックは豊富な経験から、塩素がスパイラル型メンブレンの寿命を縮めること、そして環境に有害であることを把握しています。 また、定量添加が難しいため、洗浄プロセス中に消費された分を途中で補う必要があります。 さらに、塩素洗浄後、最初の製造工程で、最終製品に塩素残留物が潜在的に認められる可能性があります。」と、Jacob Jacobsen は言います。

酵素は、環境に優しい上にタンパク質を非常に効率的に分解し、一般に塩素洗浄などと比較してメンブレンの耐用年数を大幅に延長するため、洗浄剤として世界の大部分で好意的に受け止められ採用されています。 さらに、酵素を使用した方が洗浄時間を予測しやすく、定量添加も簡単です。 後続の洗浄段階で酸を使用すると、酵素の活性は完全に停止します。 また、より高い温度とより低い pH への耐性があるメンブレンの使用により、化学物質を段階的に使用しないようにすることが容易になりました。

CIP 定量添加ユニットの膜処理

CIP で使用する化学物質の正確な定量添加は、スパイラル型メンブレンフィルトレーションシステムの持続可能性の高い洗浄において、重要な要素の 1 つです。

水の再利用と省エネ

短時間でより効果を発揮する CIP は、製造時間の延長とエネルギーの消費削減のみでなく、水の使用量も削減します。 そして、水の使用をさらに節約できます。

「多くの大手乳業メーカーでは、追加の膜処理システム、いわゆる逆浸透ポリッシャーを使用して、牛乳とホエーの余分な透過水を同時に取り除き、その水を洗浄に再利用しています。 これは大幅な節水を意味し、水不足が懸念される中、世界中の乳業メーカーから熱い視線が向けられています。 小規模な乳業メーカーでも、ポリッシャーを有利に導入できます。」と、テトラパックのシニアセールスマネージャー、Jesper Kjeldal は言います。

洗浄用水から熱を回収できるようにする新しい方法も、現在計画段階にあります。

「メンブレンフィルトレーションシステムのすすぎには、10℃の冷たい水道水またはポリッシャーの透過水タンクの水を使用します。 この水を蒸気で約 10 分間沸かし、50℃のお湯にして洗浄に使用します。 その際に排出される熱いすすぎ水から熱を回収して、流入する冷たいすすぎ水を加熱することができます。」と Jesper Kjeldal は説明します。

このように、熱はそのまま下水道に流したり捨てたりすることなく、冷たいすすぎ水の熱媒体として利用されます。 温水で洗浄すると、短時間でより効率的なすすぎができます。 必要な加熱時間の短縮は、製造時間の延長につながります。