2021 年 11 月 26 日
グローバル

ヨーグルトの消費者トレンドとそれがメーカーに意味するもの

ヨーグルトの天然タンパク質含有量と生きた細菌培養は、健康に関心を持つ消費者にとって自然な選択肢です。 より少ない添加物とより低い糖分の健康に良い食品の需要が高まるにつれ、メーカーは、ヨーグルトの売り上げを伸ばし増益を見込めるチャンスに恵まれます。

ヨーグルトを食べる女性

もっとも古いカテゴリーの食品の1つが、今日の酪農業界でもっともダイナミックな動きを見せる製品の1つであるというのは矛盾していることかもしれません。

約 8,000 年前、動物の胃袋で作ったポーチの中で牛乳が発酵しているのを初めて発見したのは中央アジアの遊牧民です。 胃袋のポーチに残っていたバクテリアやその他の微生物によって起こった発酵プロセスが、ヨーグルトに独特の酸味を与えたのです。

現在でもヨーグルトの魅力の中心は発酵です。 ヨーグルトはおいしいだけでなく、人間の健康にも良いものです。 伝統的なヨーグルトに含まれる乳酸菌は、消費者にとって多くのメリットがあります。 科学研究では、私たちの消化器系と免疫系、さらにはメンタル面の健康もバランスの良い腸内の細菌叢から恩恵を受けていることを示唆しています。

栄養面のアピールを強調

「発酵食品をたくさん食べると、健康が改善されると考えられています。 ヨーグルトは、誰にでもその好みに合う魅力的な味と種類の製品が1つはあるため、それを日々の食事に加えるのは簡単です。」と述べるのは、テトラパックで乳製品のセンターオブエキスパートを務める、マネージャーの Katarina Ternström です。

特に新型コロナウィルス感染症のパンデミックの中、腸の健康と健全な食生活への関心が高まっていることに励まされて、乳業メーカーはヨーグルトのプロバイオティクス特性を強調するようになりました。 また、一部のメーカーは、栄養面をより一層アピールするためにビタミンやタンパク質を追加しています。

健康を促進する食品に近いメリットがある伝統的なヨーグルトは、メーカーに市場のチャンスを提供し、そして、牛乳やその他の乳製品よりも高い利益を提供します。

食物と薬の相互関係が、ますます明らかになってきています。 ヨーグルトは、単なる食品から健康に積極的に貢献するもの、またはより健康だと感じさせてくれるものへと進化する可能性を秘めています。

市場のニーズに合わせた成分の調整

メーカーとしてこの可能性をどう活用すればよいでしょうか? 1 つの方法は、ヨーグルト培養のサプライヤーとさまざまな細菌株を研究し、顧客の需要に合わせることができるオプションを検討することです。

「目的は、市場のニーズに最適な製品を育てるためのベースとして、培養サプライヤーと話し合いを持つことです。」と、Ternström は述べています。

もう 1 つの方法は、原材料のサプライヤーと協力して、ビタミンやタンパク質を追加してヨーグルトの健康プロフィールを向上させる新しい方法を発見することです。 または、有益な微生物の成長や活動を誘発することで腸の健康をサポートするプレバイオティクス化合物(たとえば、イヌリンやフラクトオリゴ糖などの植物繊維)を利用します。

メーカーは、より幅広い種類の発酵製品を提供することにより、市場を分割することもできます。 ケフィアやプロバイオティクス乳飲料などの分野へ、進出を検討してみてはいかがでしょうか。

経済的な利益は、適切な製品を適切な市場で発売する企業にもたらされます。 健康にメリットを提供する製品は、より高い利益を集めることができます。 薬局はより総合的な健康に注目する方へ向かっているため、薬局の冷蔵庫にプロバイオティクス発酵飲料が並ぶのもそう遠いことではないかも知れません。

植物由来の製品の躍進

世界中の消費者の間で、乳製品の代替品への関心が高まっています。 植物由来の製品の多くは、健康上のメリットと関連していますが、より重要なのは、植物由来の食品はしばしば、気候に優しく持続可能な選択肢として位置付けられることです。 

植物由来の製品は、もはや味や多様さで妥協することを意味しません。 それどころか、今日ではオーツ麦やエンドウ豆から大豆、米、アーモンドまで、さまざまな原材料をあらゆる種類の美味しく高品質の製品に変えることができ、乳製品の代替品として十分に機能します。 

植物由来のヨーグルトスタイルの製品の開発はまだ始まったばかりですが、イノベーションのスピードは加速しています。 適切な考え方と能力を備えたメーカーなら、さらにコストのかかるミスを回避できる植物由来製品の専門家と積極的に提携しているメーカーなら、開かれた機会が世界中にあります。

タンパク質強化製品のブーム

もう 1 つのトレンドは、ギリシャのヨーグルトやクワルクなどの「濃縮」製品のブームです。 これらは一般的なヨーグルトよりも粘度が高く、多くの場合タンパク質が豊富です。 実際、タンパク質を強化した発酵乳製品は、ヨーグルトカテゴリーでもっとも急成長している分野の 1 つです。

「この市場では、子供、男性、女性、アスリートなど、さまざまなグループを対象とした、味やタンパク質含有量が異なる新製品が大ブームになっています。」と、Ternström は述べています。

健康志向のヨーグルトのもう1つのトレンドである低糖は、メーカーの革新的なソリューションを刺激しています。 ステビアやアスパルテームなどの代替甘味料に切り替えているメーカーもあれば、精糖の代わりに天然の果糖に切り替えているメーカーもあります。

メーカーとして、精糖の代わりにヨーグルトにブドウやリンゴの濃縮果汁の追加を検討してもよいでしょう。 天然の果物から甘味を得られれば、より健康的と認識される製品が製造でき、製品ラベルに「砂糖無添加」と表示できる可能性があります 。

別の選択肢として、ラクターゼがあります。 ラクターゼを追加することで、乳糖がグルコースとガラクトースに変わる時に乳糖が分解され、甘さを一層強く感じることができます。 これはまさにウィンウィンの関係です。 使用する砂糖の量を減らして同じ甘さが維持できる、しかも無乳糖の製品です。

安定剤の使用をやめて「クリーンラベル」へ

また、メーカーは添加物ができるだけ少ないヨーグルトや食品を求める消費者のトレンドを認識する必要があります。 完全に天然をアピールし、結果、理論的に良い製品であると受け止められる「クリーンラベル」製品への需要が伸びています。 ミルクとバクテリアという 2 つの必須成分だけで構成されるヨーグルトは、この点でとても優れています。

消費者は、以前にも増して、ヨーグルトの成分とその成分が含まれている理由について理解したいと考えています。 ヨーグルトを機械で処理する場合、どうしても添加物が必要になります。 従って、機械を選択し、製品をできるだけ丁寧に処理する生産ラインを設計できるヨーグルトメーカーは、レシピから添加物を除去することで潜在的な市場競争力を得ることができます。

最高の結果を得るにはトップクラスの装置のみでなく、お客様の製品を理解し、完全なライン設計と正確な制御が提供できる機械のサプライヤーも必要です。

「アドバイスはシンプルです。 これらを提供できるサプライヤーを選ぶことです。」と、Ternström は述べています。

製品展開のスピードを加速

ヨーグルトのラインでも、ますます多様性が求められています。 地域に限られていた製品が世界的な人気を集める状況が増えています。 コーカサスを起源とするケフィアは、ここ数十年でヨーロッパからアメリカ、アジアから南アメリカで人気の製品になりました。 ギリシャヨーグルトは、地元のギリシャを離れて世界中に浸透し、現在中国で流行するまでになっています。

スピード感のある製品展開とは、こうした限られた地域の製品が、世界中の新しい販売エリアへ至る道を素早く見つけることです。 ヨーグルトラインは、複数の製品製造をサポートするに留まらず、従来の果物ベースの製品から野菜の味やスパイスを多く取り入れた製品への移行などのトレンドをフォローする、より高い柔軟性を提供できなくてはなりません。

「ヨーグルトが朝食からディナーへと舞台を移し進化する今、メーカーとして製品を市場展開する新しい方法を見つける必要があります。」と、Ternström は続けます。 「また、ヨーグルトライン用の装置を選択する際も、時代や市場に合わせて柔軟に展開できるように慎重に検討する必要があります。」 

今日のヨーグルト市場を形成するトレンド

  • 腸の健康と培養製品への高まる関心
  • 健康的な食事の一部としての発酵食品への関心
  • 添加物の少ない「クリーンラベル」製品の需要の増加
  • 適切な技術とライン設定がヨーグルト生産の鍵
  • 市場セグメンテーションの増加には、より柔軟な生産セットアップが必要

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