チューブ式熱交換器のトラブルシューティングに関する5つのヒント

他の機器同様、チューブ式熱交換器も耐用期間中に問題が発生することがあります。漏れが生じることがありますが、特に重要なのは最終製品が汚染されるかどうかです。代表的な問題の一部を検証し、そうした問題を回避する方法を説明します。
テトラパックチューブ式熱交換器の上面図

正しい手順からの逸脱に起因する食品の品質低下

操業を停止させたり、製品品質に影響したりする問題が熱交換器で発生しないことが一番です。適切なメンテナンスと洗浄を行えば、代表的な問題の多くを防ぐことができます。

「推奨されている手順を守ってください」 というアドバイスが特にお客様には効果的だと、テトラパックのヨーロッパ中央アジアのヒートトランスファークラスター担当クラスタープロダクトマネージャーであるJimmy Moonsは言います。Moonsは時折、お客様の現場にいるサービスエンジニアが自分たちでどう点検を進め、間違ったガスケットの取り付けなど重大なミスがどのようにして起きるかを観察しています。すると、点検が時間通りに実施されていなかったり、推奨されているCIP洗浄の手順に手抜きがあったりすることがあります。「正しい手順からの逸脱は食品の品質を脅かす可能性があります」と、Moonsは言います。

Moonsは、お客様の設計したものとは違う用途で熱交換器が使われているケースを目にしたことがあります。「製法や製品を変える場合は、その都度、実現可能かどうかのアドバイスをテトラパックに求めていただくのがよいかと思います」と、Moonsは推奨します。

設置済みのチューブ式熱交換器について代表的な5つの問題とそうした問題を回避する方法

Moonsは自分の経験に基づいて、設置済みのチューブ式熱交換器の一般的な5つの問題を特定し、そうした問題をどう回避すればよいかについて助言します。

1. 不十分な点検が原因の漏れ

チューブ式熱交換器の点検間隔は、一般的に6,000稼働時間(2年)です。点検はこの間隔で定期的に認定サービスエンジニアが行う必要があります。訓練を受けたサービスエンジニアに任せることで、古いガスケットの間違った交換(漏れにつながる可能性あり)などのミスを回避できます。

2. 間違ったガスケットによる漏れ

テトラパックのチューブ式熱交換器にはガスケットやOリングが多数使われています。異なる場所に異なる種類が使われていますが、見た目はほとんど同じです。高温に耐えられるものもあれば、そうでないものもあります。簡単に見分けられる製品ラベルと製品番号の付いた適切な品質のゴム製純正ガスケットを使用することが大事です。そして、必ず指示に従ってください。熱交換器を漏れの発生なく適切に機能させるには、適切なガスケットをユニットの正しい場所に配置する必要があります。

3. 腐食に起因する漏れ

この問題はめったにありませんが、起こることはあります。そして発生した場合は、かなり重症です。塩を使わない大半の食品と飲料の用途では、ハイグレードのステンレス鋼316の熱交換器で十分です。しかし、その後、特定の塩分を含む製品を加工処理する際に同じ熱交換器を使用することにしたとします。塩分を含む溶液は、濃度が高い場合や温時が高いときに、この種のステンレス鋼を破壊することがあります。その結果、穴が開き、シェル側の投入製品がチューブ側の排出製品と混ざると悲惨な結果に終わる可能性があります。メーカーには必ず、スポーツドリンクや塩を使ったタイプのヨーグルトドリンクとソースなど、塩分を含む溶液を処理する予定の有無を確認しましょう。その場合には、モリブデンの含有量が多いステンレス鋼の合金(SMO)がお勧めです。

4. 不十分な洗浄に起因する汚染

推奨に従った適切な洗浄を行うことで、熱交換器の無菌状態を確保できます。特定の洗浄剤を使用していて、十分な洗浄体制が整っている場合には、洗浄剤を変えないでください。洗浄剤を変えたり洗浄時間を短くしたりすれば、コストを抑えることはできますが、洗浄効率が下がって残留物の堆積につながる可能性もあります。つまり、望ましくないバクテリアが増殖し、機器を適切に殺菌消毒できなくなります。さらに、一定間隔で洗浄を実施しないと問題が生じます。問題を回避するには、熱交換器の洗浄をメーカーが推奨するCIP洗浄プログラムに従って必ず実施するようにしてください。不十分な洗浄は、製品品質を脅かします。

5. 大きすぎる圧力降下

圧力降下が大きくなる理由はさまざまです。1つの材料(でんぷん誘導体など)を別の取引先のでんぷんに変えたことで、製品の粘性が変わる可能性があります。製品製法を変えたときにはメーカーに助言を求めるようにしましょう。粘性の高い製品を処理するために、熱交換器のアップグレードや修正を行えるようにしてください。適切なチューブ式熱交換器を選ぶ場合は、メーカーに製品の物理的特性を正確に知らせることが大事です。テトラパックではほとんどの場合、自社ラボで特定のテストを実施し、お客様の製品の粘性を正確に把握してから、その製品を処理する熱交換器を指定します。このようにすれば、圧力降下が予想外に大きくなることなく、流量を維持することができます。

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