最近、オーツ麦由来の飲料をどこでも見かけるようになりました。もしかすると、今朝のあなたのコーヒーにも入っていたかも知れませんね。乳製品から清涼飲料メーカー、新興企業に至るまで、あらゆる種類の飲料メーカーが注目し、この時流に乗ろうと奮闘しています。しかし、主要市場で数年にわたり急激な成長を遂げた今でも、業界の専門家はオーツ麦飲料の人気は始まったばかりだとしています。では、どのようにここに到達し、そしてどこに向かっているのでしょうか。
製粉されたオーツ麦から飲料を作るプロセスは、1990 代半ばにスウェーデンのルンド大学で開発されました。これは、Oatly を設立した食品科学者の Rickard Öste 氏による乳糖不耐症の研究の結果でした。
現在までを辿ると、乳製品の代替品という場所で部外者として始まったものが、正真正銘の大物になったのです。2026 年までに世界でのオーツ麦市場は 68 億米ドルに達し、年間成長率は 13.4% になると予測されています。i
米国とベトナムは、オーツ麦由来の飲料の消費量が,2019 年から 2020 年の間に 50% 増加し、ヨーロッパと同様にオーツ麦由来の飲料のトップ市場に躍り出ています。英国での売上高は 40% 増加し、ドイツでは 102% 増加しています。一般にオーツミルクと呼ばれているものの発祥の地、スウェーデンでの売上は、186% に急増しています。ii
大豆、ココナッツ、アーモンド、ライス由来の製品を含む、より幅広い植物由来の飲料市場は引き続き力強く成長していますが、オーツ麦に追いつくことはできません。オーツ麦飲料は 2020 年に大豆を超えて急増し、ヨーロッパで最も人気のある植物由来の飲料になりました。大豆の売上が 30% であるのに対し、オーツ麦は 36% です。
テトラパックの植物由来製品の戦略カテゴリーリーダーである Riccardo Trovato は、オーツ麦飲料の人気は前例がないと述べています。彼は、オーツ麦の人気を後押しする要因を 3 つ挙げ、持続可能性をリストのトップに位置付けています。
Trovato は、世界の消費者動向を調査するテトラパックのトレンディペディアから、消費者は周囲とのつながりを深め、自分たちを環境的および社会的保護者と見なしたいという傾向を指摘しています。そして、消費者は自らが購入する製品のブランドに対しても、自分と同じ考えであることを期待しています。「オーツ麦のプロファイルは、他の植物と比較して非常に持続可能性が高まっています。これがより多くの企業や消費者の関心を寄せる理由です」
オーツ麦由来の人気を推進する 2 番目の要因は、今日の消費者が心と体の健康をサポートする製品をますます選択しているという事実です。「特にパンデミックの間、消費者はリラックスできる製品を探しています」と Trovato は述べています。「そのために、砂糖を多く使った製品の消費が減り、より健康とみなされる植物由来の製品の消費が伸びたのです」
オーツ麦飲料は多くの繊維質を含み、カルシウム、ヨウ化カリウム、ビタミン D2、リボフラビン、B12 などの栄養素で強化されています。アーモンドや大豆から作られた製品よりもオーツ麦飲料をますます選択するようになっている乳糖不耐症の消費者にとって、乳製品に代わる植物由来の代替品は特に重要です。
Trovato は、このオーツ麦へのシフトはもう一つの非常に重要な要素に起因すると言います。それは味です。最も健康的で最も持続可能な飲料でも、おいしくなければ決して飲むことはないでしょう。オーツ麦飲料には、他の乳製品以外の代替品よりも自然な甘さがあり、クリーミーだという利点があります。
「これがオーツ麦の根強い人気の秘密です」と Travato は述べています。「多くの消費者は、オーツ麦飲料は他の多くの植物由来の製品よりも味が良いと感じています。味は新たな消費者を惹きつけるための最大の要因です」
Oatly ほど、新しい消費者を獲得したオーツ麦由来飲料の会社は他にありません。Oatly は 2016 年、米国へも進出しました。Oatly は、奇抜なマーケティングキャンペーンを活用してファン層を構築し、オプラ・ウィンフリーや元スターバックス会長のハワード・シュルツ氏など、注目を集めている投資家を引き付けています。
それでは、いつのまにかスーパーマーケットやコーヒーショップのメニューの定番になったオーツ麦飲料は、これからどこへ向かうのでしょうか。「2 桁の数字が永遠に続くことは考えられませんが、成長を続ける余地はまだあります」と Trovato は述べています。「そのうち、新しい成分を含む製品が発売され、オーツ麦飲料の成長が鈍化することが予想されます」
これらの新製品のいくつかは、すでに基盤を持つ乳製品プロバイダーの巻き返しから生まれる可能性があります。オーツ麦飲料に対し「長い物には巻かれろ」という対応をしてきた植物由来の新興企業が、ひそかにマーケットシェアを奪還しようと目論むことも考えられます。
Trovato は、新しい原料には常に課題が伴うため、オーツ麦由来の飲料トレンドを活かすには大企業の方が有利かもしれないとも述べています。
「オーツ麦の加工処理は、牛乳や大豆の加工処理とまったく異なります」と彼は続けます。「新製品を開発して販売するには、機器と知識を適応させる必要があります」
i ソース別、パッケージ別、製品別、アプリケーション別、地域別のオーツミルク市場の 2020 年から 2026 年の業界分析および予測、2021 年 2 月発行
ii IRI/Nielsen/Kantar Q4 2020