標準的なスチール鋼が乳製品セパレーターには不十分な理由

標準グレードのステンレス鋼を素材にした分離機の場合、CIP 洗浄でアルカリ液や酸を使用すると、牛乳の堆積物と反応して腐食性または酸性の化合物となり、結局、損傷となります。分離機の数十年の寿命にわたって総所有コストを削減するには、鋼グレードの高いステンレス鋼を使用した装置に投資する方が賢明です。
横から見たテトラパック遠心分離機

牛乳は通常腐食性ではありませんが、牛乳の堆積物が洗浄剤や殺菌剤と反応して腐食性の液体を生成し、標準グレードのステンレス鋼では表面に侵食が発生する可能性があります。たとえば、牛乳には塩化物が含まれており、これが分離処理中に沈殿物を形成する可能性があります。洗浄に使用される酸は、これらの堆積物と反応して、特定の種類の鋼を腐食させるのに十分な濃度の塩酸を形成する可能性があります。

初期段階では、小さな穴や隙間であっても、長期的には亀裂に発展する可能性があります。損傷は何年にもわたってゆっくり進行しますが、浸食が大きくなるとボウルは修復できなくなり、分離機全体を破棄しなければならなくなります。

品質の問題

すべてが鋼の品質、安全性、総所有コストの問題です。乳製品の分離機のボウルを製造するメーカーは、ほとんどがグレード 1.4418 を使用しています。これはメーカーの 1 社、Valbruna が「やや腐食環境での用途向け」と言うところのマルテンサイト系オーステナイト系ステンレス鋼です。

一方、テトラパックの分離機は、よりグレードの高い鋼で製造され、耐食性が強化されています。実際、テトラパックが使用する鋼は海水にも十分耐えることができます。初期コストは高めですが、これらの鋼により、乳業メーカーのお客様は、長期的に見てコストを節約できます。つまり、分離機のような装置は50 年も稼働できることを考えれば、これはかなりの節約になります。

ボウルには速度に応じて、2 つの異なる素材が使用されます。遅い周速には、デュプレックス鋼(1.4462)が使用されます。鉄鋼メーカーの Valbruna は、これを「高強度で非常に優れた腐食特性を備えた、耐酸性ステンレス二相鋼」と表現しています。最も早い速度のボウルの場合は、耐食性がさらに優れた、より強力なスーパーデュプレックス鋼(1.4501)が使用されます。

二重の耐性、二倍の寿命

PREN(耐孔食相当数)は、鋼の耐食性の指標として認められています。グラフは、前述した 3 種類のステンレス鋼の平均 PREN 値を示しています。グラフを見るとわかるように、テトラパック® 遠心分離機で使用されている 2 種類の鋼の PREN 値は、マルテンサイト系ステンレス鋼(1.4418)の約 2 倍です。これは、乳製品の製造におけるテトラパックの分離機の耐用年数が、鋼グレードの 1.4418 で製造された競合他社の分離機の約 2 倍と見なすことができます。

異なる品質のスチールの PREN 値を示す図

上の図は、耐食性の基準となる PREN を示しています。多くの分離機メーカーは分離機のボウルに鋼グレードの 1.4418 を使用していますが、テトラパックでは 1.4462 および 1.4501 を使用しています。

「主な競合他社の鋼材の選択に倣いたくなりますが、分離機の長期的な運用と安全性を危険にさらしながら、短期的に利益を得ることは決してテトラパックの哲学ではありません。」と述べるのは、テトラパックの遠心分離機の開発マネージャー、Åke Ölund です。彼は、1983 年以来分離機を担当しています。

「テトラパックは常に、より高品質の鋼で製造された乳製品の分離機を販売してきました。最初に出会った最も古い乳製品分離機でさえ、競合他社と比較してスチールの品質は優れていました。」と彼は回想します。「私はこれまで、ひどく腐食したテトラパックの乳製品の分離機を一度も見たことがありません。」

最初は中古品

Ölund は、分離機の開発、市場サポート、トレーニング、およびトラブルシューティングに従事するテトラパックのチームと協働しています。45 年以上前のテトラパックの分離機のスペアパーツを求めるお客様からの依頼を受けることもあります。一部の分離機は、もともとヨーロッパや北米で設置され、最終的にアフリカやアジアの乳業メーカーに中古で販売され、そこで長く使用されています。

「分離機の長い寿命の中で、最終的に彼らがどこにたどり着くかはわかりません。」と Ölund は述べ、次のように付け加えました。テトラパックの分離機が 40 年から 50 年にわたって 1 日 24 時間稼働し、サービス検査のためだけに停止するのは特別なことではありません。

最初は牛乳を処理するために設置された分離器も、塩ホエーや有塩バターの処理など、より腐食性のある用途に変更される場合があります。テトラパックの分離機であれば、十分な耐食性があります。二相系またはスーパー二相系グレードは、すべての乳製品用途の要求を満たす優れた耐久性を備えています。これにより、お客様は分離機のライフタイムを通してさまざまな製品を製造する柔軟性を得ることができます。

対照的に、牛乳よりも腐食性の高い製品に切り替えると、マルテンサイト系ステンレス鋼が使用された分離機は、腐食が加速して耐用年数が短くなり、安全性が損なわれます。

Åke Ölund は次のように指摘しています。「牛乳だけ、または甘いホエーであっても、安価なスチール製の分離機は時間の経過とともに腐食する可能性があります。しかし、テトラパックの分離機は、高グレードの高い鋼が標準仕様です。」

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