新しい革新的な方法で豆の加工処理時間が90 %短縮

あるお客様からテトラパックに、豆の加工処理を最適化できるかどうかの確認の問い合わせがありました。試行の結果は驚くべきもので、画期的な新しい混合プロセスが生まれました。
陶器の皿にチーズと一緒に盛りつけられたリフライドビーンズ

このお客様は、乾燥した岩のように固い豆をミキサーに投入した後、15分で温かいペーストに変わったのを見て信じられない様子でした。通常の産業用プロセスでは24時間ほどかかり、多くの工程と機器を必要とします。試行は、デンマークのオルボアにあるテトラパックの混合ソリューション向けプロダクトディベロップメントセンター(PDC)で行われました。

潰した豆のペーストで作るリフライドビーンズは、中東とラテンアメリカで一般的に見られる温かい料理で、メキシコではソースを意味する「モーレ」とも呼ばれます。

これまでも似たような製品をテトラパックハイシェアーミキサーで加工処理していましたが、事前に豆を水に漬けたり、柔らかくしたりしていました。PDCで2016年に実施した試行まで、加熱の工程で乾燥豆の加工処理を直接試したことは一度もありませんでした。1回に100リットルずつ試したこのプロセスは驚くほどうまくいき、わずか15分で固い豆を滑らかなマッシュ状態に変えることができました。この公開実験と数回の試行を終えて、お客様はグアテマラの自社工場で使用するために5,000トンのテトラパックハイシェアーミキサーを注文しました。テトラパックが発明したこの独自のプロセスは現在、特許出願中です。

「場合によっては2~12時間と長時間を要する浸漬工程がありません」と、センターオブエキスパートのマネージャーであるHans Henrik Mortensenは説明します。「洗浄した豆をテトラパックのミキサーに入れて、少量の水を追加します。そして、豆の紛糾を開始し、同時に加熱処理も行います。調理と粉砕の工程を組み合わせることで、時間が節約されます。細かく砕いて粒子状になった豆の調理は、挽いていない豆の調理よりも短い時間で行うことができるため、さらに時間が節約されます。さらに、こうした工程をすべて1つの機械で行うことができるのです」

豆を、リフライドビーンズなどのペースト製品に加工する従来の方法では工程が複数に分かれており、通常、次のように各工程はそれぞれ専用の機器で実施されます。

洗浄→2. 浸漬→3. 加熱→4. 粉砕→5. 混合

テトラパックの革新的なプロセスで同じ結果を達成することができますが、必要なミキサーは1台だけなので、既知のどのような商業的方法と比較しても合計所要時間を最大90 %短縮できます。全体の設置作業はかなりシンプルになっており、豆を機械から機械に移動する無駄な時間がなく、必要な洗浄回数も少なくなっています。

豆は、加熱されながら回転刃で1 mmほどの大きさに粉砕されます。粉砕した豆を調理している間に、浸漬していない豆に含まれるレクチン系の有害成分が除去されます。ラボの実験から、完成したペーストにはこうした毒素はなく、結果は浸漬した豆を使用する従来のプロセスの結果に匹敵することが判明しています。しかし、米国とヨーロッパの産業規制には、リフライドビーンズに使う豆は必ず浸漬が義務付けられているため、この新しいプロセスはこうしたエリアでは規制が変更されるまで認められません。しかし、リフライドビーンズの主な市場はラテンアメリカと中東で、こうした規制が適用されない地域になります。

リフライドビーンズに対するこのテトラパックの概念は、黒豆やソラマメなどの別の種類の豆でも有効です。また、乾燥ピーナッツを使ったピーナッツバターの製造にも大きな可能性があります。テトラパックハイシェアーミキサーには、ピーナッツバターや豆ペーストなど粘性の高い製品を問題なく処理できる独自循環機能を装備できます。

概念実証:テトラパックハイシェアーミキサー

ダイナミックステーターシステム、ジャケット加熱システム、直接蒸気注入システムを備えたテトラパックハイシェアーミキサーを使って、概念実証テストが実施されました。このミキサーでは、洗浄を除くすべての処理工程が行われました。成功したテストの3つの例を以下に挙げます。

  • 黒豆を使ったリフライドビーンズの製造
  • ソラマメを使ったリフライドビーンズの製造
  • ピーナッツを使ったピーナッツバターの製造

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