ヨーグルトの加処理における課題 - 専門家による解決方法

乳製品は、ケネス・ショーストロームにとって誕生した時から人生の一部であったと言っても過言ではありません。 このテトラパックの乳製品プロセスエンジニアは、農場で育ち、子供の頃から乳牛の搾乳と地元の乳製品のために牛乳の収集を手伝っていました。

在職25年になるテトラパックのベテラン、ケネスは「私は半世紀にわたって牛乳とヨーグルトとともに暮らし、働いてきたと言えます」と述べています。 ケネスは、自身が持っているヨーグルトの加工処理分野における専門知識を同僚のカタリーナ・リンドグレンと共有しています。

2011 年からテトラパックの乳製品技術者であるカタリーナは、ヨーグルト、培養サワーミルク、クワルク、ケフィアなどの発酵乳製品を中心に取り組んできました。カタリーナとケネスは、最高品質のヨーグルトを製造するため、またヨーグルト製造における加工処理の特有な課題に取り組むために、お客様をサポートしています。

プロセッシングの専門家、ケネス・ショーストロームとカタリーナ・リンドグレン、カリン・クロンストローム

加工処理の専門家、ケネス・ショーストロームとカタリーナ・リンドグレン、カリン・クロンストローム

 

知識を活かしてヨーグルトの品質を実現

「ヨーグルトは非常にダイナミックなカテゴリーで、乳業工学の面でも難易度の高いカテゴリーです」と、ケネスは述べています。 「厳格な食品衛生への要求とヨーグルトの変化しやすい粘性は、工場全体から紙容器に至るまで高品質な製品を製造するための専門的な加工処理の知識が必要になります。」

次に、ヨーグルトそのものの多様な性質もあります。 ヨーグルトは味とタイプだけでなく、消費時期、消費方法、栄養上の利点に対する認識もさまざまです。

カテリーナによると、ヨーグルトはヨーロッパと北米では主に朝食やおやつという位置づけです。 中国などのアジア市場では外出先の軽食やおやつ、飲み物の範疇になります。 一方、インドやパキスタンなど、主に料理の材料または調味料として位置づける国もあります。

ヨーグルトも絶えず変化しています。 かつて消費者が選択するヨーグルトと言えば、プレーンまたはイチゴ味でした。 最近のヨーグルトはバリエーションが豊かで、スーパーマーケットの冷蔵コーナーは新しい味覚の製品誕生の可能性にあふれています。

ケネスとカタリーナは、スウェーデン・ルンドの テトラパック本社を拠点に世界中でヨーグルト関連のプロジェクトに取り組んでいます。 2 人は生産者がラインを計画して製造の設定をする際に直面する 3 つの重要な課題をよく理解しています。

一貫性こそがすべて

最初の課題は、製造の一貫性です。 どのメーカーもは製品の安定した品質を求めています。 バッチ内およびバッチ間で最終製品の同じ特性を保証するには、すべてのヨーグルトを同じ方法で一律に処理しなければなりません。

「多くの種類のヨーグルトは丁寧に処理する必要があります。 発酵製品をポンプで送り冷却して攪拌するプロセスは、製品の組成を破壊する可能性があります」とケネスは言います。 「すべてのヨーグルトに対し同じ処理を準備し、すべての製品バッチに同じ配管配置のレイアウトを用意することが必要です。」

品質が一定していない製品の原因は、プロセスが適切に制御されていない可能性があります。 解決策は、プロセス全体で効果的な自動化と正確な温度、そして圧力管理を実現することです。

さらにカタリーナは次のように付け加えます。 「原材料とプロセッシングパラメータ、ラインの物理レイアウトが一貫した製造現場では、最終製品も一定の品質を維持します。」

カタリーナは、プロセッシングパラメータに一貫性がないと、最終製品の分離、粘度の変化、粒状性および風味の変動の原因になると指摘しています。

柔軟性の掌握

2 番目の課題は、プラントの柔軟性です。 現代のヨーグルト製造では、異なる脂肪レベルのスタンダードなヨーグルトやオーガニックでラクトースを含まない品種、プレーンな製品、フルーツとシリアルの粒子やスパイスを含む製品まで、さまざまなフレーバーと調合で生産する能力が求められます。

「さまざまな製品のレシピ間で変更できることが必要ですが、変更すると一部の製品が損失する結果になります」とケネスは述べています。 「ですから、ロスを最小限に抑えるために製品と製造工程の知識が重要になります」。

また、ケネスは次のように付け加えます。 「メーカーが目標とするヨーグルトの種類を分析し、将来どのようなヨーグルトを製造したいのかかも予想する必要があります。 理想的には、現在のお客様が求めることのすべてを実行できるラインを設計し、可能であれば、さらにそれ以上の機能を付加した設計にしたいと思っています」。

一部のメーカーでは、生産ラインを 2 つ(1 つは大容量、もう 1 つは小容量)に分割することを選択しますが、実際は何を生産するかによってすべて異なります。

またケネスは次のようにも述べています。「単一のラインは安価な投資ですが、切り替え時のロスを考慮すると全体として決して安価とは言えない可能性があります」。

効率性とコストの認識

ヨーグルト加工処理における 3 つ目の課題はコスト効率です。 ここでは、コスト効果の良い製造について考えます。 カタリーナとケネスは、ヨーグルトラインを効率的に設定するためにいくつかの方法があることを説明してくれました。

1 つ目は、ラインを詳細に指定しないことです。 目的は、将来を見越した要素を備えた必要な生産範囲を処理できる、適切なプロセスと装置を正確に設計することです。

カタリーナは、適切なラインを設計するには、各構成の異なる特性を知ることが重要であると説明してくれました。 「テトラパックでは、お客様の目的に合ったラインを設計します。」

カスタマイズされたラインでも、原料を最大限に活用することができます。 プロセスの設計を最適化すると粘度の保存性が向上するため、メーカーは材料の使用量を節約できます。

これを達成するには、お客様が直接テトラパックのプロダクト・ディベロップメント・センターへお越しになり、テトラパックの食品技術者とレシピを検証し改良します。

「各構成が持つそれぞれの特性を学ぶことは、正しいラインを設計するために重要です」と、カタリーナは説明します。 「お客様の目的に合ったラインを設計します」。

エネルギー消費量の最適化

最終的には、お客様にコスト効果の高いソリューションを提供し、お客様の資金が無駄にならず有効に使えるようにすることが最善の道です。 「より優れた装置を使用すれば目的の品質を実現できるのに、なぜ一番サイズの大きなポンプやタンク、攪拌機を使用するごく一般的なヨーグルト装置を導入するのでしょうか?」とカタリーナは問いかけます。

その答えは操業コストの問題です。 ヨーグルトの生産は、多くの加熱と冷却を伴うため、エネルギーを大量に消費します。

ケネスは、エネルギー消費量を最適化する方法とエネルギー回収システムの構築方法、たとえばプラントの清掃などに使用する熱を再利用する方法などを習得している、装置のサプライヤーを選ぶことを勧めています。

「そのために使用できる魔法はありません。 必要なのは、プロセスの設計と熱回収システムの知識、そしてプラントのさまざまな部分間でエネルギーを転送する方法です。」とケネスは述べています。 「これは、ノウハウさえあればかなりの節約が期待できる部分です。」

テトラパックの加工処理分野の専門家

加工処理の専門家、カタリーナ・リンドグレン

学歴: 化学エンジニアリングの 理学修士 (MSc)

テトラパックの勤続年数: 15 年

テトラパックでの経歴: 乳製品プロセスエンジニア、乳製品開発エンジニア

趣味: 友人と会うこと、読書

好きなヨーグルト: 全脂肪有機プレーンヨーグルト
カタリーナ・リンドグレン

加工処理の専門家、ケネス・ショーストローム

学歴: 機械工学 (エネルギーシステム) の理学修士

テトラパックの勤続年数: 25年

テトラパックでの経歴: チーズ、ジュース、離乳食を専門とする、エネルギーシステムエンジニア、プロセスエンジニア、プロジェクトエンジニア

趣味: ハイキングとサイクリング、地元の少年サッカーチームのトレーニング、家族との時間

好きなヨーグルト: スウェーデンの全脂肪培養牛乳 (filmjölk)
ケネス・ショーストローム

ウェビナー: 常温ヨーグルトで成功する方法

常温ヨーグルトの製造に必要なすべての知識を習得できる収録済みウェビナーです。